1本の歯を失うと「全ての歯の噛み合わせ」やひいては「あごの位置」までがずれてしまいます。

そのずれた「噛み合わせ」「あごの位置」を考慮にいれず、
ただ抜けてしまった歯の部分にインプラントをいれてしまうと、
「噛む」という意味においては問題ないのですが、
噛み合わせやあごの位置はずれたままですので、体調面に様々な弊害がもたらされます。

「頭痛」「首痛」「肩こり」「疲れ易い」などは良くあるパターンです。
さらに、顔が左右非対称になったり、口元が年をとった感じになることもあります。

関節と筋肉と歯が揃って「噛む機能は成り立っています」

抜けた位置の「歯」だけポンといれても関節(あご)や筋肉はきちんと働くことが出来ません。
また、人間の骨の中で左右にまたがっているものは、唯一顎の骨だけです。

例えば、左の歯を失ったとき、同側の左だけでなく右にも影響がでるのはこの構造的な理由によります。
左の下の歯を失ったら、ずれてしまったあごや噛み合わせを元に戻した上で、インプラントを入れることではじめて元通りの噛み合わせとなり、上述したような、弊害を引き起こしにくくなります。

噛み合わせやあごの位置がずれている患者様に良くある症状

  • 噛むと顎や耳の前あたりが痛い
  • 頭が痛い・首が痛い・肩が痛い、疲れ易い
  • 噛む場所が定まらない
  • 片一方の歯でしか噛めない
  • 口を空けるとあごがコキコキ・バキバキ鳴る
  • 良く噛めない
  • 口が開きにくい(手を広げ口に対して垂直にして指が3本入るかどうか)

のような方は、噛み合わせやあごの位置までを考慮せずに、歯を失った場所にインプラントをしてしまうと、より症状が悪化する場合があります。

噛み合わせがずれる要因

  • 歯を抜いて長期間放置していた
  • 長期間入れ歯をつかっていた
  • 子供の頃または大人になってから矯正した経験がある
  • 様々な歯科医院で虫歯の治療など行い、様々な歯科医で被せ物を作った経験がある方
  • 顎関節をずらして口を大きく開ける癖がある
  • 片側ばかりで食物を噛む
  • 片側ばかりの横向きやうつ伏せで寝る
  • 片則的な姿勢、ねじれの姿勢の状態を長く維持する
  • パソコン等で下向きの時間が長い
  • ストレスによる噛み締め
  • 「噛み合わせが元々良くない」
  • 「顎を強くぶつけたことがある」
  • 「顔の長さが左右で少し違う」
  • 「親知らずがはえている」

噛み合わせの乱れ、あごのずれなどがある患者様の場合

顎関節周辺、咀嚼筋(咬筋(こうきん)、側頭筋(そくとうきん)、外側翼突筋(がいそくよくとつきん)、内側翼突筋(ないそくよくとつきん)、首の周囲の筋肉に痛み(緊張)が発生している場合が多く見受けられます。ですので、この症状をまずソフトスプリントなどを使用して緩和していきます。

※ソフトスプリントとは
スプリント療法とは主に夜間・口腔内に装着していただくもので、上下の歯のあいだにワンクッションおいて、かみ合わせないことによって、緊張した筋肉のリラクゼーションをはかるというものです。主にそしゃく筋の弛緩を促す、下あごの安定をはかる、また、顎関節の拡大をはかることを目的としています。
患者様ごとに口腔内の状況は違いますので歯形とCTスキャンによる結果から患者様に合わせたソフトスプリントを制作の上、治療を進めていきます。

ソフトスプリントと平行して(ストレッチング)

あごの関節のストレッチ運動をご指導させていただきますので、ご自宅などで定期的に行って頂くことで筋肉の緊張状態が大きく緩和されることになります。

再度、あごの位置の検査

ソフトスプリントの使用や適切なストレッチングにより、筋肉の緊張がゆるみますと、あごを適切な位置に誘導できやすくなります。この状態で、再度。噛み合わせのズレとあごの位置のずれなどを再検査し、新たな(適切な)噛み合わせを作っていきます。正しい噛み合わせは、被せ物や詰め物などによって、ミリ単位で調整していきます。時には矯正が必要な場合があります。

当クリニックでは、インプラント治療に先立って、必要な様々な検査を行います。その際に、顎関節検査によって顎関節に問題が見つかった時、症状が強い場合などは、上記の過程を経てから、インプラント治療を開始します。

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