インプラントの症例 詳細

4つの人工歯を
インプラントで固定

治療前

治療前

歯が動揺して、食事が取りづらいとのことでした。歯周病に対する精密検査の結果、残念ながら、重度の歯周病のために、全ての歯を抜歯することになりました。

そこで、緻密な治療計画をたてました。順次、抜歯後に自分の歯があったところにインプラント埋入していきます。つまり自分の歯を順次インプラントへ交換します。

最終的には、全ての新しい歯をジルコニアによるオールセラミックのブリッジで製作しました。
使用したインプラントは、15本で、7つのブリッジを支えます。

このような治療の場合、術前に緻密な治療計画が必要になります。
その計画の際には、CTレントゲンから作る3次元光造形モデルが有効的使えます。

治療後

治療後

この症例の治療内容と料金、
副作用(リスク)について

治療メニュー 上下顎無歯顎に外科用のガイドを使用したインプラント手術と、15本(上顎8本で4つのブリッジ、下顎7本で3つのブリッジ)のインプラント支持による合計7つのブリッジによる補綴治療
治療内容 歯科インプラント治療とは、歯の抜けた部分のあごの骨に、デンタルインプラント(人工歯根)を埋め込み、人工の歯をその上に装着する治療法です。無歯顎の症例では、ブリッジの歯に合った位置にインプラントを埋入することが難しいために、CTデータから作製した外科用のガイドを使用し、インプラント埋入手術を行い、それらの15本のインプラントを使用する事で、固定式のブリッジによる補綴を行いました。3歯分のブリッジが6つで、6歯分のブリッジが1つです。このように細かく分けることで、セラミックの修理のときに対応しやすくまた、補綴物の製作の誤差を最小限にしています。
治療の副作用
(リスク)
手術の際には、下顎骨内の太い神経・動脈、周囲の顎骨を傷つけない様に、また、上顎では、さらに上顎洞底を傷つけないように、術前に、外科的・噛み合わせ的な側面から十分な診査を行います。また、術後1〜2週間に腫脹・内出血などがおきることもあります。まれに、インプラントが骨と結合せずに、脱落することや、治療中の仮歯、治療後のセラミックについては、欠けたり、外れることもあります。歯槽骨・歯茎の状態によって、治療の難易度がことなるために、必ずしも同様の結果になるとは限りません。
治療価格 インプラントとアバットメントは15本分となりますが、セラミックの歯は24本分となります。仮歯での咬み合わせ調整、外科用のガイドなども含めるとそれらの合計で、950〜1050万円(歯槽骨・歯肉の状態・義歯の種類などによって異なります)

症例写真

治療写真

初診時です。歯周病のために、歯茎が退縮したために、歯根が露出し、歯と歯の間の隙間が大きくなっています。
レントゲンで確認すると重度の歯周病であり、ほとんど全ての歯は抜歯と診断しました。

治療写真

さらに詳細なレントゲンでチェックすると、数本の歯は残すことが可能ですが、全顎的なインプラント治療計画においては、総合的な観点からあえて抜歯を選択することのメリットがはるかに大きかったので、全ての歯を抜歯し、インプラント治療を行うことになりました。

治療写真

初診時の口腔内の模型です。正面からみたところです。写真の右側の歯がはみ出しています。

治療写真

【左】上の歯の模型です。若干の歯列不正がみられます。
【右】下の歯の模型です。数本の歯は顎の骨のアーチからはみ出しています。

治療写真

【左】右からみたところです。前歯が少し出ています。
【右】左から見たところです。写真の中央の歯が少し下に出ています。

治療写真

そこで、模型上で全ての歯を正しい排列に直しました。これが、インプラント治療後の新しいセラミックの歯の排列のたたき台になります。まずは、正面から見たところです。

治療写真

【左】上の模型です。歯列のアーチがきれいになりました。
【右】下の模型です。こちらも歯列がきれいに改善されました。

治療写真

【左】右側です。上の前歯の出具合を修正しています。
【右】左です。こちらも修正しました。

治療写真

以上の修正した模型をもとに、診断用ワックスアップを行います。この診断用ワックスアップが、治療後の状態になります。口腔内の噛み合わせを再現した咬合器上で行います。

治療写真

このような歯の排列が現実に再現できるようにインプラント治療を計画します。

治療写真

【左】正面から新しい歯をみたところです。歯周病で骨と歯茎を失った為に長い歯になっています。
【右】下の歯の排列です。

治療写真

【左】この診断用ワックスアップを複製しCT撮影用のステントを作製します。言い換えれば、CT撮影用の仮歯です。材質はバリウム入りのレジン(プラスチック)です。インプラントの埋入方向に合わせて、歯冠部分にミリングマシーンで穴をあけます。
【右】歯によってインプラントの植立方向の違いはあります。

治療写真

【左】前歯の部分です。
【右】インプラントの植立は、8本予定しています。最終的には、4つのセラミックブリッジを予定しています。

治療写真

【左】模型上でのCT用ステントです。
【右】口腔内にセットしました。この状態でCTレントゲンを撮影します。

治療写真

【左】CTのデータの上の奥歯の部分です。白く見える部分がバリウム入りの歯の部分です。2段目の左のレントゲン画像が歯の部分に穴を置けた部位です。この部分にインプラントの中心が来るように計画します。
【右】骨の幅十分にあります。高さは10ミリです。

治療写真

【左】上の前歯部分のデータです。3段目の左の画像がインプラントの中心になります。ここで、インプラントの角度、深度などを決定します。
【右】1段目の真ん中の画像がインプラントの中心になります。神経が通っている管が存在する為にインプラントの植立方向、深度が制限されます。

治療写真

【左】下のCTデータです。CT用のステントがはっきりと写っています。
【右】ステントの部分は紫色に補正されています。

治療写真

【左】右の小臼歯部分ですが、骨幅は十分にあります。
【右】インプラントの埋入方向を決定します。

治療写真

【左】ステント部分が紫です。方向を変えながらインプラントの埋入ポジションを検討します。
【右】ステント部分を外して、骨のみの状態にしてインプラントの方向などを確認します。

治療写真

【左】上の角度からインプラントポジションをチェックします。
【右】横の角度からもチェックします。

治療写真

上のインプラント治療ですが、CTのデータ上で立案した治療計画を正確に再現するために、2次元上のデータを3次元での模型にします。当時は、データをベルギーにメールで送信し、そこの施設で3次元光造形モデルに変換しました。

治療写真

【左】実物とほぼ同じ顎骨の模型とインプラントの埋入位置をガイドする外科用ステント(サージガイド)が送付されてきます。
【右】上顎骨の模型です。

治療写真

【左】上のインプラントの1次オペです。サージガイドの適合は良好です。
【右】この穴に合わせてドリリングを行います。

治療写真

顎骨に形成された穴にインプラントを入れていきます。

治療写真

このようにして、8本のインプラントを埋入しました。その後、アバットメントを装着し仮歯を支えます。

治療写真

下のインプラント治療です。上の角度から見たところですが、前歯があった部分の骨の幅が全く足りませんので、骨幅を増やすオペを行います。

治療写真

【左】骨充填材を自身の骨から採取しました。
【右】顆粒状のものと混ぜます。

治療写真

【左】同時に歯肉の移植も行う為に、上顎の口蓋部から採取します。
【右】上皮下結合組織を採取しています。

治療写真

2センチ程の長さの結合組織片です。

治療写真

骨の上に、骨充填材、コラーゲン膜、結合組織の順番に置いていきます。

治療写真

インプラントが6本埋入されていますが、前歯の部分にも1本追加埋入します。顎堤の幅は改善されています。

治療写真

【左】インプラントが埋入されました。ここの見える3本のインプラントで前歯6本を支えます。下の前歯は細いので、これ以上の数のインプラントを使った場合、ブリッジの審美性を損なうことがあります。
【右】上の角度からです。インプラントが左下の前歯の位置に計画通りに入っています。

治療写真

【左】インプラントの上部構造の作製に関しての説明です。口腔内でのインプラントの位置を再現する精密な模型を作る為の型取りを行います。その時に、写真にある形状のものをインプラントに装着します。
【右】正面からです。

治療写真

模型です。インプラントの位置関係が再現されています。この模型上でセラミックの歯を作製します。まずは、上の前歯部のインプラント上部構造について説明します。

治療写真

【左】先ほどの写真以外の模型も作製します。この模型は、上の前歯部の4本のインプラントの模型です。アバットメントが加工、装着されています。
【右】正面からです。

治療写真

【左】これらのアバットメントの上にジルコニアフレームをまず作製します。その上にセラミックを築成、焼成します。左右に二つのブリッジが製作されました。これらは、オールセラミックのブリッジと呼ばれます。
【右】正面からです。ここに見える2本のインプラントの間には神経が通る大きな管があるので、それを避ける為にインプラント同士は少し離れた位置に植立されています。

治療写真

【左】口腔内でセットするところです。まず、4つのアバットメントをセットしました。
【右】正面からです。模型と同じ状態ということがわかります。

治療写真

オールセラミックのブリッジが左右に1つずつセットされました。インプラント治療前の診断用ワックスアップに近い形態になっています。
長目の歯でありますが、実生活上、大きく笑った時でも、上唇がインプラントと歯肉の境まではめくれないので、歯の2/3ぐらいしか見えませんので、審美性は保たれます。

治療写真

次に、下の前歯部分です。下の前歯は、上の前歯よりも小さいサイズです。幅は5〜6ミリ程です。
ですので、通常のサイズのインプラントを使うと、大きい歯を作らなくてはなりませんので、細めのサイズのインプラントのみが使用可能です。
また、隣接するようにインプラントを配置するとインプラント同士が接近しすぎてしまうので、あまり適応されません。ですので、このような3本のインプラントの配置か、両端に1本ずつの合計2本のインプラントの配置が理にかなっていると考えます。
この写真では、アバットメントが加工後にセットされています。

治療写真

その上で、ジルコニアフレームを作製します。作製方法は、コンピュータで、模型とアバットメントの形態を読み取り、そのデータからジルコニアのブロックをコンピュータで削り出します。

治療写真

【左】口腔内で、インプラントにアバットメントをセットし、その上でのジルコニアフレームの適合を確認します。これにより、模型と口腔内との間で誤差がないことが確認できます。
【右】正面からもチェックします。ジルコニアフレームの適合は良好でしたので、この上にセラミックを築盛、焼成します。

治療写真

模型上でオールセラミックのブリッジを完成させます。

治療写真

口腔内で、オールセラミックブリッジをインプラント上にセットします。インプラント治療開始前の診断用ワックスアップと、ほぼ同じ形態の歯になっています。

治療写真

【左】実際には、奥のオールセラミックブリッジが、先に口腔内にセットされたので、順番が前後しますが、奥歯も見ていきましょう。
【右】右の下の奥です。3歯分の歯牙欠損に2本のインプラントで治療を行いました。加工したアバットメントが二つセットされています。二つのアバットメントは平行になるように加工します。

治療写真

【左】ジルコニアフレームの適合を口腔内で確認しますが、良好です。
【右】フレームが問題ないので、セラミックブリッジを完成させます。状況によっては、ピンクのセラミックを使うこともあります。

治療写真

【左】左の下の奥です。インプラント部にはアバットメントが装着されています。
【右】アバットメントは平行性が確保されています。

治療写真

【左】ジルコニアフレームの適合をチェックします。
【右】セラミックを築盛し、完成後オールセラミックブリッジをセットします。

治療写真

【左】次は左の上の奥です。すでに、アバットメントが2つ装着してあります。
【右】横から見たところです。

治療写真

下の奥と同様に、インプラント部にオールセラミックブリッジをセットしました。

治療写真

右の上のインプラント部にも同様にオールセラミックブリッジがセットされました。

治療写真

上には、8本のインプラントによる4つのオールセラミックブリッジが装着しれています。下には、7本のインプラントによる3つのオールセラミックブリッジが装着されています。

治療写真

【左】上のブリッジです。機能的な形態が付与されています。
【右】下のブリッジです。上と同様に機能的です。

治療写真

【左】右側方からです。
【右】左側方からです。

治療写真

インプラント治療後のレントゲンです。インプラント周囲の骨が安定し、インプラントとオールセラミックブリッジの適合が良好なのが確認できます。